先日LINE@に次のような質問をいただきました。
「子どもが6年生で、今度中学受験をします。公立の適性審査でよく出るのですが、記述式問題に強くなるには、どうしたらいいでしょうか?何かいい勉強法はありますか?」
中学受験をする・しないに関わらず、記述式問題が苦手、というお子さんは小・中・高を通してとても多いのではないでしょうか?
私の教室の生徒さんを見ていても、同じ記述式でも「当てはまる箇所を〜字で抜き出しなさい」というパターンの問題は何とか解けても(それも、文字数を頼りに見つけているお子さんが多いですがw)、自分の言葉で適切に記述する、というパターンの問題に手こずっているお子さんが多いようです。
今回は、「記述問題が苦手な小学生が中学入試に向けてやるべき勉強法とは?」についてお伝えします。
目次
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良質な問題を解く
まず、記述問題に強くなるためには、家庭学習で「実際に問題を解く」という実践を積むことが必要になってきます。絶対量を確保することで、記述問題はある程度、対応できるようになっていきます。では、どんな問題で実戦練習するのがいいのでしょうか?
解説の濃さ
まず、家庭学習で使用する問題集を選ぶ際は、解説がしっかりしているものを選びましょう。なぜなら、記述問題の克服には、「どこを間違ったか?」「なぜ違うのか?」という自己分析が必須だからです(詳しくは2章で)。
つまり、解いた後の見直しが、記述問題の克服には欠かせないのです。
なので、問題集を選ぶ際には、解説がしっかりしているもの、特に解答・解説集が別冊になっているものが望ましいです。
学校から出されている問題集は、主に教科書の内容を扱っているものが多いので、教科書以外で1冊用意した方がいいでしょう。
記述問題のパターンが揃っているか?
記述問題には、大きく分けて3つのパターンがあります。(冒頭でお伝えしたような「〜字で抜き出しなさい」というような問題は、今回は記述問題からは省きます)
まずは、「要約させる」問題。これは、「この文章で筆者が最も言いたかったことは何ですか?50字以内で書きなさい」というような問題です。
次に「言い換えをさせる」問題。「傍線アは具体的にはどういうことを言っていますか?」という問題。
そして「推測する」問題。これは国語だと小説問題に多いですが、「主人公の〜が、傍線アのような行動をとったのは、どうしてだと思いますか?」というような問題です。また、社会などでは、「次のアとイのグラフを見比べて、今後日本の自動車の輸出量はどのように変化すると予想ができますか?簡潔に説明しなさい」というような問題です。
自宅で取り組む問題集には、これらのパターンがまんべんなく出題されていることが望ましいです。
そういう意味では、受験の過去問などはオススメです。数年分の過去問を解くことで、こういった主要パターンの問題に取り組むことができるからです。
しかし、過去問の中には解説が充実していないものがあるので、学校の先生や塾の先生に「なぜ間違ったか?」の分析が正しいかどうかをチェックしてもらうことをオススメします。
復習で差がつく
1章でお伝えしたように、学校の授業を真面目に聞いていても、記述問題に強くなることはありません。(もちろん、サボればいいという意味ではありませんよw)
良質な問題を解く絶対量を確保することが、記述問題克服には必須です。そして、解き終わった後の復習で、グンと差がつきます。
見直すポイント(1)
解き終わったら必ず自分で答えあわせをするようにします。
記述問題が苦手、というとどうしても「思っていることを書くことが苦手」と捉えがちですが、「書くこと」以前に「読み取る力」がまず必要になってきます。
まずは、設問の意味を正しく理解できていたか?を振り返ることが重要になってきます。
私の生徒さんでも、記述問題が苦手なお子さんのほとんどは、「何を聞かれているのか分からない」状態になっています。
特に、設問自体が長文になっているような場合は、「つまり何を問われているのか?」ということをきちんと把握できていたか?をチェックする必要があります。
この辺は、お家の人が入って、「この問題は何を聞かれていた?」というような発問をしてみるのもいいですね。
見直すポイント(2)
見直しをする際は、「どこが違うか?」「なぜ違うか?」この2点を確実に自分で言えるように、解説を読み込むことをしてください。
また、「まぐれでなんとなく書いた解答」が、たまたま正解だった、というようなものも、しっかり復習しましょう。「まぐれで正解」という問題は、ノーマークになりやすく、結果的にそこが「つまずき」の原因になっていくこともあるからです。
記述問題の自分の解答を見て、まずは「どこが違うか?」を把握します。例えば「筆者が一番言いたかったことの、後半部分が抜けていた」「内容的には合っていたが、文末を”〜だから”にしていなかった」などです。
次に、「なぜ違うか?」を考えてみましょう。ここでは、解説をじっくり読むことが大切です。例えば前者の例であれば、「問題文の中にある”つまり”という言葉を見落としていたので、そこに描かれている筆者の主張を汲み取れなかった」というような感じです。
また、後者の例であれば「問いに合う答え方をしていなかった、問題文を最後まで読んでいなかった」という感じですね。
この「解説をじっくり読んで、なぜ違うのか?を考える」行為そのものに、読解力・思考力が必要になってきます。
つまり、きちんと解説を読み込むことがそのまま、記述問題に対する力をつけることに、つながるのです。
見直すポイント(3)
これは主に国語の記述問題に適していますが、解説を読んで理解できたら、問題文の文章に直接書き込みをしてみましょう。
例えば「筆者が一番言いたかったこと」の根拠となる箇所を鉛筆で実際に囲ってみるのです。その際に「つまり」という言葉を強調させたり、「私たちは〜すべきなのです」というような強い断定箇所に線を引いたり、解説に書かれている「なぜそれが筆者の主張なのか」の根拠を、実際に自分で問題文に書き込んでみることで、文章の構造をつかめたり、読み解くコツがつかめたりしてきます。
読解力とは、「つまりどういうことか」「その根拠は何か」を正しくつかめる力のことです。解説を読んで分析する際に、「その答えになる根拠は、本文中のどこにあるのか」という視点を持つことで、読解力は鍛えられます。
日常生活で記述問題に必要な力をつける
記述問題に必要な力は、「正しく読み解く力(読解力)」と「自分で要約・説明する力」です。これらは、2章でお伝えしたように、実際に問題を解きそれを復習することで養うことができますが、日常会話を通して育むこともできます。
「客観的に見て重要」を把握
正しく読み解く力は、「客観的に見て重要な箇所はどこか?」「その根拠は?」この2つの問いかけをすることで、育むことができます。
例えば、ニュースやドキュメント番組などを観たとき、新聞や本を読んだときに、「今の話で一番大切だったところってどこだろう?」「なぜそう思った?」という意見交換をするのは、いい方法ですね。
この際、「客観的に」というところがポイントです。「客観的に」という視点を日頃から持つことで、記述問題を解く際に、「なんとなく文字数が合うから、これかなー」(笑)という解き方をしなくなります。
あまり堅苦しくならないように、取り入れてみてください。
「主観的におもしろい」で主張の仕方を学ぶ
また、「客観的に重要」という視点の他に、「主観的に面白かった」という視点を持つことも大切です。「主観的に」というのは、「誰が見てもこれが重要、というわけではないけど、自分はここが一番興味を惹かれた」という部分です。
「主観的」と「客観的」という2つの視点を切り替える癖をつけることで、客観性がより養われていくことになります。
それに「客観的に重要」ばかりを会話に盛り込んでも、つまらなくなってしまいますよね(笑)
ここで大切なのは、「自分は、どこが一番興味を惹かれたか?(主観)」を話すときに、主張の仕方を学ぶ、ということです。
記述問題でのつまずきの1つである「自分の思ったことをまとめられない」ということを、「自分が興味深かったこと」を伝えることで、鍛えるのです。「客観的に重要だと思うこと」を使うよりも、気が楽だからです。
「30秒以内で言ってみて!」など、ゲーム感覚で取り組むと、かなり面白いと思います。(「今日の遠足で一番面白かったことを30秒以内で言ってみて!」など気軽に応用できますね!)
なお「読解力をつける方法」については、こちらの記事で詳しくお伝えしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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