受験シーズンど真ん中の、
中3クラスを何コマか受け持っているのですが、
そのクラスで先日、
ある生徒からグサリと刺さるコトバを聞きました。
「人生で初めて、
大人の話をもっと聞きたいと思った」
いつも通りの、
穏やかで、
のんびりした口調で、
おちゃらけて言った、とか
冗談で言った、とかじゃなくて、
きっとこの子の心の底から出たコトバだな、、
と感じられました。
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その生徒(Yちゃん)は、
レベルの高い高校を狙っているのですが、
先日のレッスンの時に、
問題を解く手を止めて、
ボソッとつぶやいたのです。
「ほんとは私、K高校に行きたかったんだよね。。
両親も担任も猛反対したから、諦めたけど。。」
K高校は、
県の中でも偏差値でいうと「低いレベル」とされる高校。
トップレベルの高校を目指しているYちゃんが、
どうしてK高校に行きたかったのか。
そのきっかけは、、、
去年の夏に友だちの付き添いで参加した、
K高校のオープンスクールでした。
その日、
オープンスクールに参加した中3生たちを前に
校長先生が話してくれたこと。
それが、彼女の心を大きく動かしたのでした。
「人生で初めて、
大人の話をもっと聞きたいと思った」
Yちゃんがそう思った、
その校長先生の話は・・・・
Yちゃんのコトバを、
ほぼそのまま書いてみますね。
「知っての通り、うちの高校はレベルは高くない。
でも、うちの高校には、最高に素敵な生徒たちがいる。
君たちも最高に素敵だと今日思ったけど、
うちの生徒はもっともっと素敵だ。
君たちは、今、
なんのために勉強してる?
今、勉強していることは、
どこにつながる?
その正解はないと思うけど、
私は、
何を勉強したか、も大切だと思うけど、
勉強したことを
どう使うか、が大切だと思う。
ただ自分が賢くなるだけ。
ただ高校や大学に受かるため。
そうじゃなくて、
私は、この高校で学ぶ生徒全員に、
自分が学んだことが、
誰かの役にたつ。
自分が学んだことで、
誰かの助けになる。
そういうことのために
勉強しているんだ、と忘れないでいてほしいと
思っている」
普段、そんなにおしゃべりしないYちゃんが、
のんびりと、
でも、心の中から大切なものを
引き出すような感じで、
話してくれたのを聞いて、
私は、
胸が詰まりそうでした。
夏に聞いた、校長先生のそのコトバは、
半年間色褪せずに、
Yちゃんの心にずっと残っていたのです。
なんのために勉強するの?
なんのために受験するの?
じゃあ、その先は?
自分の中にある、
普段なかったことにしている質問。
その答えを見せてくれた「大人」。
何が正しいかは分からないけど、
私は、こう思ってるんだよ。
君たちは、どう思う?
そう心を開いて
語りかけてくれた「大人」。
それが、
彼女の心に残り続けているんだろうな、と
思いました。
「私は」、どんなふうに、
「この子」に映っているんだろう?
「私たちは」、どんなふうに、
「子どもたち」に映っているんだろう?
何を感じさせてるかな。。?
私は、
ただの一塾講師だし、
何か大きなことを変える力は
ないかもしれないけど、
子どもが絶望するような大人だらけの日本、には
なったらダメだ。
とにかく、それだけを、
ただただ
思ったのでした。