長年、たくさんの子どもさんたちと接していて、少しの失敗ですぐに自信がなくなってしまう(心が折れる)子どもや、自分に対する自信が極端にない子どもを見てきました。
 
一方で、少しくらい失敗しても自信を失わないような子どもや、新しいことに挑戦するときも、最初から自信を持って取り組めるタイプの子どもさんもいます。
 
子どもが自信を持つためには、もちろん周りの大人(とりわけ親)の子どもへの接し方が大きな影響を持っているのです。
 
今回は「子供に自信を持ってもらうために大人がするべき声がけや褒め方とは?」をお伝えさせていただきます。
 
 
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自信には2段階ある

 
 
子どもが自信を持つためには、まずは「自分の存在に対する安心」を感じていることが前提になります。
「自分は、いていいんだ」「自分は受け入れられているんだ」という、自分の存在そのものに対する安心感が満ちていない状態で、自信を持つ、ということはできません。
 
たとえ、何かがうまくいって、その瞬間は自信を持つことができても、そこが満たされていない子どもは、小さな失敗ですぐに自信が折れることになります。
 
「自分の存在に対する安心」は、幼少期から小学校高学年くらいまでの大人(親・先生など、子どもにとっての大切な人や権力者)の声がけや態度で育まれていくことが殆どです。
 
この「自分の存在に対する安心」があって初めて、「自分の能力に対する自信」を持つことができるのです。
 
 

褒める

 
 
「褒める」という行為は、子どもにとってとても影響が大きく残る行為で、自信を持つ土台を作ることにも繋がりますが、1章でお伝えした「2段階」の中の、まずは「自分の存在に対する安心」をいかに持ってもらえるか?が大切です。
そのことを踏まえて、5つの「褒め方」をお伝えしていきます。
 

まずは認める

 
まずは、「認める」というスタンスが大切です。
これは、言葉で「認めているよ」と伝えるということではなく、子どもが何をしても、どうであっても、できていようがいまいが、「そのままのあなた」を認める、というのをまずこちら側が決めることを指します。
 
そんなこと心に決めなくても、当たり前にできている人がほとんどだと思いますが、「どんなあなたでも、そのままを認めるよ」というスタンスを持とう、と改めて思うだけで、「見え方」が違ってくるのです。
 

プロセスを褒める

 
たまに、「点数がよかったから褒める」「順位が上がったから褒める」というように、結果がよかったら褒める、という方がいます。
それはそれでいいのですが、「点数が悪かったらがっかりする」などの態度とセットになっている場合は、要注意です。
 
子どもにとってみると、「点数が良くなければ、認めてもらえない」という自己評価を作ることになるからです。
 
もちろん、点数を褒められて嬉しくない子どもはいないのですが、
「今回、がんばってたの知ってるよ。100点取れてうれしいね!えらかったね!」というように、必ずプロセスもセットで褒めるようにしましょう。
 

頑張ったことを褒める

 
「プロセスを褒める」ことにも通じるのですが、結果はどうであれ「がんばったこと」「がんばろうとしたこと」「取り組んだこと」を褒めることは大切です。
 
「きっと上手くいく」ということが、特に根拠もなく信じられる人と、そうでない人がいますが、前者の場合は、脳の中に「報酬回路」という回路ができているのです。
この回路ができていると、上手くいくかどうかわからないことに対しても、自信を持って取り組むことができます。
 
この報酬回路を作る土台になるのが「頑張ったことを褒められた」という経験です。頑張った先には「嬉しいこと」「いい気分になること」が待っている、と知っているので、「よし!やってみよう!」と前向きにがんばるようになります。
 

絶対評価で褒める

 
子どもは、学校にいるほとんどの時間を「相対評価」の中で過ごしています。相対評価というのは、「他のこと比べてどうか?」「平均点と比べてどうか?」で評価することです。評価の基準が「自分以外」にあるわけです。
 
それに対して「昨日の自分と比べてどうか?」「前回のテストと比べてどうか?」というような、その子自身の成長の幅に基準を置くのが、「絶対評価」です。
 
子どもにとって一番大切で、一番影響が大きい「親」は、絶対評価を軸にして子どもを褒めることが大切です。
 
他の友だちやきょうだいと比べて評価されることが続くと、「自分の存在に対する安心」という土台は築かれていきません。
 
また絶対評価をされることで、子どもから見ると「お母さんはちゃんと、自分のことを見ていてくれてるんだ」という安心感にもつながるのです。
 
たとえ、中学に入ってからずっと点数が悪い、というような場合でも、「過去のあなた」と比べたら確実に成長しているはずです。「小学生の頃は宿題すら嫌がっていたのに、中学生になってから、ちゃんとやるようになった」これもものすごい「伸び率」ですよね?^^
 
学校でも部活でも習い事でも、ほとんどが相対評価の中で過ごしているのだから、せめて家庭では絶対評価の目で見てあげることが大切です。
 

無条件で褒める

 
何かをしたから褒める、ある条件が揃ったら褒める、というのではなくて、「無条件に褒める」というのは、「自分の存在に対する安心感」の、最も強力な土台を作ることになります。
 
無条件に褒める、というのはどういうことかと言うと、特に何もない時に褒めるのです(笑)。
「〜ちゃんは、ほんとに優しい子ね」「〜ちゃんのこと、お母さんは大好きよ」と伝えてあげるのです。
たとえ点数が悪かった時でも「あら、40点だったの。でもお母さん、〜ちゃんのこと大好きよ」という感じです(笑)
脈略なんてなくてもいいのです。
 
「自分の存在に対する安心」を持つことができれば、あとは「結果」をどんどん褒めてあげたり、成功体験を積ませてあげたりすることで、自然に「自分の能力に対する自信」は作られていきます。
まずは「自分の存在に対する安心」を揺るがず持ってもらうこと。これは他の大人では作れません。親にしかできないことなのです。
 
 

まとめ

 
大人でも「自信を持つ」ということは、簡単なことではありません。特に、うまくいくかどうかわからない時や、失敗が続いている時などは、どうしても自分に自信が持てなくなってしまいますよね?
 
一方で、特に根拠はないけど「がんばればきっと出来るだろう」「うまくいくような気がする」という考え方が自然にできている人もいますよね?
 
これは、幼少期から高学年くらいまでの間に、どれだけ「自分の存在に対する安心」を感じられたか、そして、小さくてもいいからたくさんの成功体験をできたか、が大きな影響を与えています。
 
 
子どもは、「自信」を持てた時に大きく変わります。
 
自分の好奇心に素直になって、やってみたいことにどんどんチャレンジし、失敗を繰り返しながらも、新しいことをたくさん吸収して成長していきます。
大人が「〜しなさい」と指示を出さなくても、サポートだけしてあげるだけで勝手に伸びていくのです。
 
これが子ども本来の力で、この伸び率は大人は到底かないません。
 
少しくらい失敗しても、すぐに心が折れたり卑下したりせず、たくましく前進していくのです。
 「自信」を持った子どもは無敵です。
 
「勉強しなさい」「もっとちゃんと授業を聞きなさい」「塾の宿題もやりなさい」
100回これを繰り返すよりもずっと、私たち大人は、「子どもにどれだけ自信を持ってもらえるか?」ということにこそ、たくさんのパワーを注ぐべきなのでしょうね。
 
 
 
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