先日、中1の男の子のお母さんから、LINE@でこんな相談を受けました。
「去年から塾に行き始めたのですが、最近、塾に行きたくないと言い始めました。イヤイヤ通っても頭に入らないし、本人にやる気がないなら習っていても無駄かなと思うのですが。すぐ辞めてしまうのも、どうかな?と思って迷っています」
イヤイヤ通っても意味がない。でも、少しくらいイヤな時があったくらいですぐに辞めるのもためらわれる。という相談でした。
このような時、大人はどのように対応するべきなのでしょう?
今回は、「塾に行きたくないと子どもが言い出した時に、注意すべき親の対応とは?」についてお伝えさせていただきます。
目次
塾に行きたくない理由
子どもが塾に行きたくないのには、大きく分けて2つの理由があります。
1つ目は、明らかな理由がある場合。例えば、「授業についていけない」「先生と合わない」「学校の宿題が終わらない」「嫌な友達がいる」「部活で疲れているから、授業が頭に入ってこない」などです。
2つ目は、明らかな理由がない場合です。「なんとなく疲れる」「もういいかな、と思う」「面倒くさい」など、特定の理由があるわけではないけど、熱が冷めたような状態になっているパターンです。
また、一見、特定の理由はなさそうに見えたけど、じっくり話を聞いてみたら、「自分だけができないのが恥ずかしい」というのが根本の原因だった、というような場合もあります。
どちらにしても、本当の理由は本人にしか分からないので、「行きたくない」と何度も言うようなら、いきなり叱ったりするのではなく、しっかり話を聞いてあげることが大切です。
子どもの心を閉ざす対応とは
まずは、本人の話を聞くことが大切、とお伝えしましたが、その際気をつけなければいけないことがあります。
それは「話を聞いているようで、実は親の価値観を押し付けているだけ」にならない、ということです。
次のような対応は、逆に子どもの心を閉ざしてしまうので、気をつけましょう。
命令、決めつけ、脅迫、説教、理屈、尋問
「行きたくない」「辞めたい」と子どもが言い出したら、子どもの話を聞く前に、次のような対応を思わずしてしまう、という大人は多いのですが、それをすると、子どもは(というか、受け手側は)それ以上心を開くことができません。
その時だけでなく、次回以降も、「どうせまた説教されるだけだから、適当にごまかそう」と、話さえもしなくなっていきます。
<対応例>
・「自分が行くって言い出したんだから、続けなきゃダメでしょ!」「少しくらいイヤなことがあったくらいで、すぐに投げ出さないの!」というように、決めつけたり説教をしたりすること。
・「そんな忍耐力がないようじゃ、ろくな大人になれない」「そんなこと言ってないで行きなさい」というように、脅迫したり命令したりすること。
・「行きたくない、と思うから行きたくなくなるものよ」などというように理屈で論破すること。
・「いやな友だちがいるの? いつからそう思っているの?」というように、まるで尋問のように問いただすこと。
子どもへの影響
このような対応ばかりをしていると、子どもは「どうせ話してもムダだ」とコミュニケーション自体を諦めたり、「自分は悪いんだ、罪深いんだ」と自分を責めたり、「自分は理解されていないんだ」と投げやりになったりします。
でもこれは、子どもに限らず、大人でも同じことが言えるかもしれませんね。
あなたが「今日は会社に行くの、ちょっと嫌だな、、」と言ったら、旦那さんや奥さんが、速攻で説教したり決めつけたり、命令してきたりしたら、どうでしょう?(笑)
私なら、無言でキレますねww
難しいことは考えなくても、自分がされたら、、と想像すると、イメージしやすいかもしれません。
子どもの話を聞く2つのポイント
2章でお伝えしたことに気をつけて、子どもの話を聞くことが大切なのですが、この章では話を聞く際の2つのポイントについてお伝えします。
話を促す
私もよくやってしまうのですが、相手の心が開く前に、「どうしてそう思うの?」「イヤなことがあったの?」と質問攻めにしてしまう、という人は多いと思います。
これって、している方は「質問」だと思っていますが、受け手にはまるで「尋問」されているような圧迫感があるのです。
具体的には、「子どもが自分から話し始めるまでそばにいる」「何か話し始めたら、こちらの話を割り込ませないで、ただひたすら聞く」「ほほ笑んだり、体に手を添えたりして安心させる」などです。
こちら側が導きたい結論に誘導してやろう、という聞き方ではなく、ただ黙って丸ごと聞くのです。
子どもが話しているのを遮って、避難したり説教したりしない、ということが大切です。
心を開いてもらう
そのように「丸ごと聞く」「傾聴する」という時間を共有していると、だんだん核心に近い内容を話し始めるようになります。
ここでは、「きちんと理解している」ことを伝え安心感を与えたり、子どもが混乱しているようなら話を整頓してあげたり、という積極的な聞き方に切り替えることが大切です。
具体的には、核心に近い内容を話し始めたら、子どもの言葉を繰り返したり(これによって子どもは、理解してくれていると感じたり、客観的に自分を見れるようになります)、子どもが話していることを、別の言葉で言い換えて「こういうことだったんだね?」と提示したり。
ここでも大切なのは、自分の意見を挟んだり決めつけたりしない、ということです。
自分で決めるサポートをする
「塾に行きたくない」と子どもが言い出したら、どうしたらいいか?・・・これは、その理由によっても答えは違います。
「続ける」という選択をしたとしても、「どのように続けるか」「どこを改善して続けるか」ということまで子どもと話せていないなら、またすぐに同じようなことが起こるでしょう。
「辞める」という選択をしても、これは同じことです。根本を問題が見えていないなら、「自分で決めたことを、続けられなかった」「自分で言い出したことを守れないから、自分はダメだ」というしこりが、子どもの中に残ることもあります。
1章でお伝えしたように、明確な理由が分かっていても、その理由の根底には別の理由がある場合もあります。例えば、「先生と合わない」という理由であっても、子どもの話を聞き出していくと、実は根底には「自分だけができないのが恥ずかしい」という劣等感が根底にあることが、分かったりします。
まずは大人は「聞く側」に徹する、ということが大切です。
そしてその上で、子どもが「自分で選択する」サポートをする側に回ります。
続けるにしても、辞めるにしても、最終的には「自分で選択した」ということが大切なのです。
子どもが自分で決められるように「サポートをする」「話を整理する」というスタンスで話し合いましょう。
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