中学生くらいになると、勉強している時に音楽をかけるという人が多いと思います。私の教室の生徒さんも、「勉強するときは、たいてい音楽を聴く」というお子さんが多いのですが、保護者の方は「集中できないんじゃないの?」と心配される方も多いですね。
中には「音楽を聴きながら勉強、なんて、不真面目だ」という理由で、反対する保護者の方もたまにいますw
 
テレビを観ながら勉強、というとデメリットしかありませんが、実は勉強している時に音楽を聴くことには、いくつかのメリットがあります。
 
今回は「勉強の集中力を高める音楽の聴き方とは?」をお伝えさせていただきます。
 
 

 

勉強しながら音楽を聴くメリット

 

最初の1歩の負担が少ない

 
家庭学習が身につかない人の多くが、「やり始め」に時間がかかるのが原因です。どんなことでもそうですが、最初の1歩って、脳にとっては大きな負担がかかるのです。
 
0から1にするのにはエネルギーがかかりますが、いったん始めてしまえば、それを継続することには、それほど負担はかかりません。
 
勉強をするときに音楽を聴く最大のメリットの1つが、この「最初の1歩の負担を軽減させる」ということです。
 
自分の好きな音楽を聴くことで、気分が高揚し、高いテンションで勉強をスタートさせることができます。イヤイヤ勉強をスタートさせることと比べると、この効果は大きいですね!
 
 

集中状態に入りやすくなる

 
音楽の種類にもよりますが、音楽を聴いているとき脳はリラックス状態になります。リラックスしていると、集中力や記憶力を高める効果のあるα波が脳内に発生するので、集中状態に入りやすくなります。
 
勉強をスタートするときは流れている音楽が聴こえていたけど、いつの間にか勉強に没頭していて、何の音楽が流れていたのか記憶にない。
こういう経験をしたことがある人は分かると思いますが、普段はなかなか入れない「集中ゾーン」に自然に入っていた感覚があると思います。
 
音楽をBGMに流すことは、作業に没頭しやすくなる、という効果があるのです。
 

周りの雑音を遮断できる

 
家で勉強していると、家族の話し声やテレビの音、洗濯機の音など、いろんな雑音があると思いますが、音楽をかけることで、それらに意識がいかなくなる、というメリットもあります。
 
これは「マスキング効果」と言って、少し大きめの音が流れることで小さく聞こえていた雑音などがかき消されるのです。
雑音が遮断されたような状態で勉強できるので、より集中しやすくなるのです。
 

勉強しながら音楽を聴くデメリット

 
勉強しながら音楽を聴くメリットをお伝えしてきましたが、残念ながらデメリットもあります。
 

音楽の方に集中してしまう

 
勉強の時に音楽を聴くと集中ゾーンに入りやすい、とお伝えしましたが、まったく逆の状態にもなり得ます。
 
問題の解き方を考えていたつもりが、いつの間にか音楽を聴き入っていた、というように、音楽の方に、意識が奪われて集中が途切れてしまうのです。
 
つまり、音楽を聴くことで集中状態に入れるメリットは、音楽そのものに集中を奪われるデメリットと背中合わせなのです。
 

常習性がある

 
音楽をかけながら勉強すると、気分よく勉強が進められるし、集中もしやすくなる、というのは事実なのですが、一方で、これには常習性があります。
癖になってしまうのです。
 
私の教室の生徒さんの中にも「音楽聴いてないと、集中できない」「音楽がないと、勉強のやる気が起きない」「静かな場所だと、イライラする」というお子さんが何人かいるのですが、これは完全に勉強の時に音楽をかけることが癖になっていて、軽い中毒のような状態ですね。
 
 

メリットを活かそう

 
 
勉強するときに音楽を聴くときの最大のメリットは、最初の負担を軽くすることと、リラックス効果で集中状態に入りやすくなることです。
では、これを最大限に活かすためにはどうしたらいいのでしょうか?
 
 

最初の導入に使う

 
自分の好きな音楽を聴くのを、勉強をスタートさせる「導入」に使いましょう。
 
自分の好きな音楽が流れたら、取り組もうとしている勉強の準備をして、机の上を整えます。この際、スマホやゲーム、漫画など、自分の集中を妨げそうなものをあらかじめ、手の届かない場所に移動させておきましょう。
 
最初の1歩をスムーズにスタートさせるためには、手を動かす単純作業系の勉強が適しています。
同じような作業を淡々とすることで、人は集中状態に入りやすくなります。「好きな音楽+単純作業系の勉強」で勉強をスタートさせるのです。
 
「予習ノートに英文を書き写すだけ」「だいたい覚えている英単語を復習ノートに書くだけ」のような、高い思考力の要らない勉強と、好きな音楽で、勉強のリズムを作りましょう。
 
ある程度集中できてきたら、取り組む勉強の内容を変えます。新しく知識を身につけるための練習問題や、思考力の必要な実践問題などです。
この時点で、音楽のボリュームを小さくするか、あらかじめタイマーなどで、音楽が終わるようにしておくのが効果的です。
 

集中力を高めるために使う

 
あらかじめかける曲を選択できるような場合は、最初の何曲かは好きな音楽を、中盤以降は歌詞の入っていない音楽や洋楽などの、音楽の方に気が散らないような曲を先に選曲しておくと、集中ゾーンにより入りやすくなります。
 
思考力が必要な問題にさしかかったら、いったん音楽を消して(または、ボリュームダウンさせて)、「この問題を解き終えたら聴く」と区切りをつけるために使うのも有効です。
 
音楽を聴きながら勉強することには、大きなメリットとデメリットがあるので、ぜひ、いろいろ試しながら、より集中できる聴き方を探してみてください。
 
 
 
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